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第四十二章 滝川の想い
人間らしくない、感情なんか無いんじゃないか?
陰日なたでそう言われていることは知っているが、
滝川は自分自身を泥臭い男だと思っていた。
姉に関しての思いを封印した時に
彼は人間らしさを捨てたのだ。
だがアキコと知り合い、身体を重ねるようになってから
いくばくかの人間らしさを取り戻したようだった。
あの女、アキコがいなければ
俺はこんなに悩んでいただろうか。
いや、他ならない姉の為に
必死になっただろうと、彼は思う。
報われる事のない想いだが、
いっそ姉に自分の心臓を捧げたい。
その為になら死んでも良い。
彼はそんな事を考えていた。
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