1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
ボクは、
冷蔵庫に飛び乗った。
『さぁ、出発だ~!
たっくん、しっかりつかまって』
冷蔵庫は、そう言うと、
ベランダから、空へと飛びたった。
「うわぁ~~~~~」
見た目とは、裏腹に、
冷蔵庫は、とても軽やかに加速していく。
ぐんぐん、ぐんぐん、
空に向かって、飛んでいく。
ボクの家が、ボクの街が、
どんどん、どんどん小さくなっていく。
「わぁ~~~っ、
気持ちいい~~~~」
ボクは叫んだ。
うちの真っ白い冷蔵庫が、
空を飛んでる。
まるで雲の一部になったかのように、
冷蔵庫は気持ちよく
空高く、空高く、飛んだ。
『たっくん、気持ちいいね~。
こんな世界があったなんて、知らなかったよ。』
「うん!!
ホントだね!」
『たっくんと一緒に、空を旅するのが
僕の夢だったんだ。それが叶って、
本当に嬉しいよ』
「ボクも!!」
僕らは、上からの眺めを存分に楽しんだ。
すると
冷蔵庫は、急降下を始めた。
さっきまで小さかった町並みが、
どんどん大きくなり始める。
冷蔵庫は、青い屋根の上に止まった。
「あっ、ママ!!」
そこには、パンやさんで、働く
ママの姿があった。
パンを運んだり、レジを打ったり、
休む間もなく、忙しそうに、動いている
ママ。
「ママ・・・」
冷蔵庫は、
たっくんを見つめた。
最初のコメントを投稿しよう!