冷蔵庫

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  ボクは、 冷蔵庫に飛び乗った。 『さぁ、出発だ~! たっくん、しっかりつかまって』 冷蔵庫は、そう言うと、 ベランダから、空へと飛びたった。     「うわぁ~~~~~」 見た目とは、裏腹に、 冷蔵庫は、とても軽やかに加速していく。 ぐんぐん、ぐんぐん、 空に向かって、飛んでいく。 ボクの家が、ボクの街が、 どんどん、どんどん小さくなっていく。       「わぁ~~~っ、       気持ちいい~~~~」 ボクは叫んだ。 うちの真っ白い冷蔵庫が、       空を飛んでる。 まるで雲の一部になったかのように、 冷蔵庫は気持ちよく 空高く、空高く、飛んだ。 『たっくん、気持ちいいね~。 こんな世界があったなんて、知らなかったよ。』      「うん!!      ホントだね!」 『たっくんと一緒に、空を旅するのが 僕の夢だったんだ。それが叶って、 本当に嬉しいよ』      「ボクも!!」 僕らは、上からの眺めを存分に楽しんだ。 すると 冷蔵庫は、急降下を始めた。 さっきまで小さかった町並みが、 どんどん大きくなり始める。 冷蔵庫は、青い屋根の上に止まった。 「あっ、ママ!!」 そこには、パンやさんで、働く ママの姿があった。 パンを運んだり、レジを打ったり、 休む間もなく、忙しそうに、動いている ママ。     「ママ・・・」 冷蔵庫は、 たっくんを見つめた。
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