第6章 最初のトラブル

1/9
36人が本棚に入れています
本棚に追加
/119ページ

第6章 最初のトラブル

「アトランティス、タワーを通過!」 理紗の無線にCAPCOMの倫太郎の声が響く。 アトランティスには対ノイズ性を上げた機器とレーザー通信設備を搭載しており、地上局を切り替える事で軌道上まで通信が可能となっている。 「アトランティス、ロールプログラム」 「ロールプログラム」 ダグが倫太郎の指示を復唱して操縦桿を右に倒す。PFD(一次飛行計器)内のロール角が回転し180度のロールが行われた。 「ロールプログラム完了」 シャトルは狙いの軌道傾斜角に背を向け少しずつ背面になりながら上昇を続ける。 「30、32、メインエンジン出力ダウン!」 「了解(コピー)、出力72パーセントへ」 ダグが推力(スラスト)レバーを手前に引き、エンジン出力を絞った。 最大抗力点(マックスQ)に向け、機体に掛かる負荷を低減する為だ。 「40、時速662マイル、高度1万7千フィート。42、44、音速突破」 超音速に入り、コックピットの騒音が一気に小さくなる。
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!