5、クサ

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 眠くなるだけで効かない薬はやめて、高いカウンセラー料金もくすねるだけのお金ではとうとう払いきれなくなってやめた。その代わりむぎ子は、高校のカウンセリングルームへ、一人お忍びで通い続けた。気休め程度であっても、自分のすべてを吐き出せるカウンセラーはむぎ子の崩れ落ちそうな心の支えとなった。むぎ子はカウンセラーとの対話の中で、自分の心のうちに眠る欲望に気がついた。それは自分が強く、一人でも多くの人間に、好かれたいと願っているということだった。
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