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「へえ。真面目な君でも授業サボったりすることがあるんだ」
「どうしてもやる気になれなくなったんだよ」
「どうして?」
「君のせいだよ」
僕の言葉に、
「私の?」
と、忍は驚いた顔をする。僕は黙って頷いた。
「私、君に何かしたかしら?」
「何も」
「だったらどうして?」
「この前の模試、自分の成績表を見たらわかるよ」
僕の言葉に、忍は首を傾げる。
「それなりに手応えはあったと思うけど、それと君のやる気とどういう関係があるの?」
「君は予備校にも来ずにゲームをしていて全国十位。僕は毎日あくせく勉強してようやく千五百位。これでやる気を無くさない方がどうかしてるだろう?」
「それって、ただの八つ当たりだよね?」
「ああ、八つ当たりさ」
僕が言うと、忍は声を上げて笑い、
「君って面白いね」
と言った。それから、タバコを取り出して咥え、火を点ける。
「ねえ、八つ当たりついでにさ、今日一日、私に付き合わない?」
「今日一日? 授業はどうするんだよ?」
「サボっちゃえばいいでしょう?」
忍は相変わらず事もなげにさらりと言い、更に付け加える。
「やる気がなくなったんなら、授業に出ても仕方ないでしょう?」
「わかった。付き合うよ」
僕が答えると、忍は小さく頷いた。
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