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満月の光は闇夜も明るく照らしてしまう。
薔薇の香りが立ち込める中に浮かぶ麗しい暦の艶笑。
「悦んで。」
僕は彼女を抱き上げて、自らのカーディガンを敷いた上に組み敷いた。
地面に舞い広がる、彼女の長くて艶のある髪。
嗚呼、やっぱり暦は美しい。
ずっとずっと、僕はこの人が欲しかった。
弊害はあったけれど、全て取り払った今、彼女は漸く僕の物だ。
衣服を脱がせ露わになる滑らかな肌が、月明りで更に白く輝いている。
「また誰かに見つかったらどうする?」
「もう、縁起でもない事言わないで。あんなに悲しむなんて二度と嫌。」
「そうだね、僕もだよ。」
でもね、その心配はいらないよ。
だって僕達の愛を汚す邪悪な獣は、もういないのだから。
天使と神も、美しい薔薇のような僕達に微笑んでくれる。
例え……僕と暦が背徳に塗れていたとしても。
「愛してるよ、暦。」
「本当?」
「うん。」
「嘘じゃない?」
「僕は暦に嘘なんてついた事ないよ。」
「ふふっ、例え嘘でも私はきっと歴を愛してる。」
二人の唇が重なり、暦の腕が僕の背中へと回される。
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