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彼女の蒼白い首筋に歯を突き立てただけで、暦の口から甘美な啼き声が零れて薔薇園に響く。
ちゅっ
ちゅっ
僕が口付けを落とす度に鳴るリップ音と、それに合わせて可愛く声を上げる彼女。
嗚呼、可愛い。
久しぶりの感触に強烈な興奮と幸福、それから昂りを覚えてしまう。
「やっ…あんっ……んっ…。」
胸の頂に熱を孕んだ舌を這わせて甘噛みすれば、僕の服を握り締めながら彼女の身体が弓のようにしなった。
「クスっ…嫌なの?……もっとシてって顔してるのに?」
「やっ……久しぶりだから…恥ずかしいの…。」
自らの手で顔を覆い、指の隙間から覗かせた瞳で僕を映す暦の一言は、容易に僕の理性を崩壊させる。
僕は熱い吐息を一つ吐いて、美しい顏を隠す手をそっと避けた。
「よく見せて、暦の可愛い顔。」
「あ、紅くなって…ない?」
「なってるよ。」
「やだ。」
「どうして?熟れた苺のようにとっても美味しそうだよ。」
「んっ…ふぁっ……。」
暦の輪郭をなぞるように口付けを降らせ、さっきまで激しい口付けの余韻のせいで唾液で艶を放つぷっくりとした唇を舐めた。
それだけで糖度の高い菓子を食べているのかと錯覚する程の甘みが、僕の舌に伝うのだから彼女は本当に狡い人。
僕の心も身体も捕らえて放してくれないんだ。
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