教室革命

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教室革命

 教室には王様がいる。  王様には誰も逆らえない。担任の先生だって逆らえない。  教室の中では、王様の他にもそれぞれ役がある。  僕の役目は王様の家来だった。けして、王様より目立ってはいけない。しかし、王様に恥をかかせてもいけない。 「まったく、しょうがないなあ。俺がいないとなんにもできないんだから、おまえってやつは」  少し見劣りするくらいが、ちょうどいい。王様を脅かすことがない、王様のミニチュア。そう考えると家来というよりも、ペットのほうが正しいかもしれない。  狭い教室の中に、同じ年に生まれた同じ地域の子どもたちがギュウギュウに押しこめられている。なにかの役割を果たさないと居場所がない。  昼休みが終わる直前だった。  不意によろけて、通路で足がもつれた王様は、派手な音を立てて机をひっくり返した。机の上にのっていたランドセルは口が開いていて、机の中にあった教科書やノートも、ランドセルの中身もすべてが床にぶちまけられた。 「マジかよ。ついてねえな」  王様の舌打ちを聞いて、まわりのみんなが集まってくる。もちろん、家来である僕も率先して手伝わせていただく。  メタリックブルーのペンケースを拾い、中に入っていた定規と消しゴムを拾う。芯が折れた鉛筆はすべて削り直し、先端をきれいに尖らせる。 「本当にこれで全部か? 俺の持ち物、もし一個でも足りなくなってたら、その時はわかってるだろうな?」  あたりを睥睨して、低い声で威嚇してくる。王様の持ち物を盗もうなんて、そんな度胸のある奴は一人もいないのに。  チャイムが鳴って、担任が教室に入ってきた。みんなは、やれやれと胸をなで下ろして席についた。
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