ワンハンドレッド・セレナーデ

君が嫌いな僕

「木崎さん。」
そう思っていたある日の放課後、
廊下で帰り支度をしているとちょうど彼女が通りかかった。

突然話しかけたことに彼女はとても驚いていたけど、
そのまま足を止めることなく進み始めてしまった。

「木崎さん！」
そんな彼女を僕はもう一度呼び止めた。
そんな声にまた驚いた彼女はビクッと肩を揺らして
振り返ることはなかったが立ち止まってくれた。

「一緒に帰らない？」
僕ってこんなに大胆だったのだろうか。
自分の口からすでに発せられた言葉に驚いていたけど、
それ以上に周りの女子が驚いている声が耳に入って来た。

でもそんな周りの騒ぎなんて無視して、
木崎さんはそのまままた足を進め始めた。

「いいよ」なんて言ってくれると思ってはいなかった。
予想通りの展開に僕はクスっと笑ってそのまま自分の帰り支度をすすめた。