君が嫌いな僕

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少しでも彼女に近づくために、僕はもっと本を読むことにした。 今までは本屋で好きな本だけを買って何回も読むことが多かったけど 図書館に行って自分では買わない本も読んでみようという気持ちになった。 うちの学校の図書館は木造のアンティークな造りが有名で ドラマの撮影なんかによく使われている。 そんな雰囲気のいい図書館だけど、 毎日あるから生徒たちはそこまで特別感を感じていない。 僕もその生徒の一人で数回しか入ったことはなかったけど、 改めて見てみるとあたたかな雰囲気の中にある静寂な空間の調和が とても美しい場所だと思った。 初めてきたような気持で僕が図書館内をぼんやり見渡していると、 日の当たる窓際の席には彼女が座っていた。 あ、会えた。 いつかは会えるかなと思っていたけど、 でもこんなに早く会えると思っていなかった僕は 迷うことなく彼女の隣の席に座った。
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