ねこ日和

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 僕は平凡な公立中学の二年生である。学内ランクだと勉強は中の上、運動は中の下。目立ち度はほぼゼロであるが嫌われ度もほぼゼロだ。同じような平均値付近をうろうろしている目立たない連中といつもなんとなくつるんでいる。  そんな大衆に埋没している僕であるが、ひとつ、特殊な能力を持っている。  変身ができるのである。  動物、植物、無機物も可である。サイズも自由自在だ。  ただし実際に見たことがあるものに限る。だから恐竜だとか宇宙人だとかには変身できない。  この能力が目覚めたのは小学五年生の時だった。その日からこの特異体質を誰にもばれないようにすることに人生の全てをかけてきた。もし気づかれたら僕の平穏な生活が終わってしまう。それだけでなく外国の某研究所に連れていかれて、この変身能力が封じられてしまうかもしれない。  それだけは絶対に嫌だった。なにしろ僕は、変身能力をものすごく気に入っていたのだ。
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