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日曜日のうららかな初夏の午後だった。
僕は二階の自室の窓から空を見上げた。雲ひとつない抜けるような青空である。
(こんな日は、だんぜん猫日和だ)
僕は晴れた日に猫になるのが好きだった。理由は単純で、日向ぼっこによる快楽が生物界で抜きんでているからである。
ものすごく気持ちいいのだ。
そして僕が猫を選ぶのにはもうひとつ理由があった。猫は僕が暮らす住宅街の適者生存ランキングで人に並ぶ上位に位置しているのである。
うろついていても犬だと保護されるが、猫は大抵スルーである。鼠などの小動物は猫に補食される危険があるし、鳥類は高所恐怖症なので化ける気にはなれなかった。
虫は踏み潰されたり狩られたりする危険が大きく、また脊椎動物に比べてぐっと思考力が魯鈍になるので、うかうかしていると人に戻ることを忘れてしまいかねない。
ゆえに猫は外をうろつくにはうってつけなのだ。
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