オレがゾンビになるまでの最後の100秒

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「クソっ! しくじっちまったぜ!」  安全地帯にある家屋まで避難してきたオレは、リビングのソファに体を投げ出すなり、大きな声で吐き捨てた。  左の二の腕には、服の上からでもそれと分かるほどの噛み跡が付いている。血が滲んでいるところを見ると、確実に皮膚にも噛み傷が到達しているだろう。  つまり、オレはやつらのウィルスに感染したということだ。今までの研究によれば、ウィルスに感染後は、約100秒でゾンビ化が始まると分かっている。つまり、あと二分もしないうちに、オレはあのクソ野郎どもの仲間になっちまうってことだ。  右手首に付けた腕時計で時間を確認する。三時十八分――。 「オレの人間としての最後の100秒ってわけだ。時計の針が二十分を過ぎれば、新しいゾンビの誕生かよ!」  自嘲気味に口元を歪めた。 「このままゾンビになるのを待つしかないか……。いや、それとも潔く自害でもするか……」  そんな風に考えた。しかし、銃はすでに撃ち尽くしてしまい、マガジンには弾は一発も残っていなかった。そもそも、銃の弾が切れたせいでゾンビに遅れを取ってしまい噛まれてしまったのだ。     
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