きっかけ

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 店内に入ると、アイスコーヒーを頼み、喫煙席へと進んだ。店内は結構混んでいて、禁煙席は満席になっていた。このご時世、喫煙席のが空いている方が珍しくない。  それからタバコを咥えると、再度、「ドキドキメール」を開いた。すると、プロフィール作成画面がポップアップした。  尚之は思案するも、とりあえず、名前と、住んでいる地域、年代と職業だけ入れた。名前は「なお」、住んでいる地域は家の地域、年代は四十代前半、職業は会社員。  プロフィールは詳細に入力が可能になっていて、年収、好きな体系、自分の体形の詳細が五段階評価で入力可能。それからひとことメッセージがある。尚之はそこまで詳細に記載するのは怖かったから、そのまま空欄にした。  問題はそれから先だ。このアプリには、「ピュア」と「アダルト」と掲示板が分かれている。尚之はそれをじっとしばらく見ていたが、「アダルト」の方を選んでクリックした。  すると、そこには沢山の投稿が載っていた。  一番上に書かれていた投稿に目をやった。ブイサインをしている、可愛らしい女性の写メのアイコンと共に、「すぐ会いたい」とカテゴリーがされており、名前、リナ、二十代後半と書かれていた。アイコンは小さくて、顔写真もよく見えないが、気になり、クリックしてみた。すると、文章が現れた。 『これからえっちなことで楽しく会える方☆ 迎えに来てくれる優しい方、中出しOKです☆ よかったらメールください』  と書かれていた。ごくりと尚之は唾を飲みこむ。中出しOK……。  それを見て、ついつい男の欲望というか、今まで、ずっと劣情が煽られるような出来事がなかったのもあり、自分の下半身が熱を持つのが分かった。それからそのリナ、という女に、メールを返してみることにした。しかし。ポイントを購入することが必要で、尚之はメールを送ることが出来なかった。クレジットカードの登録も可能だったが、それは怖くて出来ず、とりあえず、webマネーを買おうと、思った。すぐにコーヒーを返却口に置いて、コンビニに向かった。  尚之は店を出てから思った。本当に会えるのだろうか。ちなみに歩いている間に他の人の投稿も見てみた。そこには、「別イチゴで」とか、「別ニで」とか書いてある。これは一体どういったことなのだろう。でも、リナには書いていない。
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