第一章 新たな司法

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第一章 新たな司法

 法廷は静まり返っていた。審議は全て終わり、後は判決を待つばかり。検察、弁護士、被告人、傍聴席に座る面々。皆が固唾を呑んで裁判長の判決を待っていた。 「判決を言い渡します。主文、被告人を死刑に処する」  判決が読み上げられた瞬間、傍聴席から歓声が沸き起こる。  先ほどまでの静寂とは打って変わって騒がしくなる法廷内。しかし、裁判長はそれを咎めるでもなく、粛々と判決文の続きを読み上げていた。  今やこのような光景は珍しいものでは無い。  "司法判断と国民感情との乖離を是正する法律"――通称、新裁判員法。  この法律が施行されてから裁判は大きく変わったのだ。  
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