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1.逃走
逃げなくては。速く走らなくては。そしてかつ見つかってはいけない。静かに、迅速にこの仕掛けを解いて逃げなくては。
人をかき分けて走る。ここがどこかもよくわからない。デパートか何かだろうか。陳列棚と人がとにかく邪魔である。僕は早く逃げないといけないのに!
やっと上階に続く階段にたどり着いた。人もかなり少ない。ここからは上を目指すのみだ。僕はコンクリートの階段を駆け上がる。息が上がって脚が重くなってくる。舞台裏のような、飾り気などない無機質な灰色。扉が閉まっている。壁のカバーを開け、回路をいじり、何とか先に進む。まだまだ追ってくる。どうしよう。撒けない。追いつかれる!もうだめだ!
というところで目が覚めた。汗だくで気持ちが悪い。しかしまだ眠たい。それに体が動かない。僕が勝手に動けないと決め込んでいるだけなのだろうか。面倒くさいから動こうとしていないのだろうか。今日こそはちゃんと起き上がろうと思ったのになあ。もういいか。どうせだめだし。
そういうわけで僕は今日も二度寝したのだった。
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