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<4章>
私がうつむいたままでいると、
しがみついていた例の彼がふとしゃがみこんだ。
「!?」
慌てて私は掴んでいた手を離す。
「はい。」
彼は私に、落とした本を手渡した。
「あなたのでしょう?」
「・・・・・・はい。ありがとうございます。」
恥ずかしさのあまり、消え入りそうな声になっていた。
夢ばかり見ているオバサンだと
思われはしないだろうか?
いや、そんな事自意識過剰すぎる。
何も思われていないはずだ。
そんな事を思っていると、またバスが揺れた。
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