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Haroldはため息混じりに恋愛相談に応じ、お人好しで奥手な幼馴染みを心配している。着崩した学生服のポケットに手を突っ込み、観察するような冷たい目つきで一瞥すると、腰まである茶髪を背中に払って、苦く笑う。そして、斜め後ろに座る少女を振り返った。
「なあ、アリーからも何とか言ってくれよ」
「勿体振る癖を直して。──彼女の目は?」
Aliciaはジャンパースカートの裾を払い、人目を忍びながらも組んだ脚を元に戻した。柔らかな白い腕をソファーの背に垂らすと、向き合って座った幼馴染み二人を見下ろし、好奇心旺盛な猫みたいな目の色を光らせる。アイスティーをストローで吸う唇は魔性だ。
「治った。ちゃんと治ったよ。ほっとした」
頬杖をつき、眉を歪め、ぎこちなく笑う。気まずそうにまた窓の向こうに視線をやり、賑わう街の行き交う人々を眺める目は健気。照れ臭いのか、もっと複雑な気持ちなのか、ポーカーフェイスだから、読み取れないが、耳が赤いところを見ると、前者なのだろう。
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