02.墓標と十字架

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復興もままならぬ中、遠くの地で新たな災害が発生する。 人々の記憶からは『3.11』が風化していく。 だからせめて、月命日(つきめいにち)くらいは……。 俺は、お揃いだったクロスネックレスを両手で包んだ、かきむしるように。 彼女のクロスは、まだ見つからない。 多分、彼女と共に海の中なのだ。 だからクロスは、彼女にとっては墓標であり、俺にとっては背負うべき十字架だ。 2人の記念日でもあった3.11に逢うことができなかったのだから。 一生君を護ると言っておきながら、できなかった俺の十字架。
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