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復興もままならぬ中、遠くの地で新たな災害が発生する。
人々の記憶からは『3.11』が風化していく。
だからせめて、月命日くらいは……。
俺は、お揃いだったクロスネックレスを両手で包んだ、かきむしるように。
彼女のクロスは、まだ見つからない。
多分、彼女と共に海の中なのだ。
だからクロスは、彼女にとっては墓標であり、俺にとっては背負うべき十字架だ。
2人の記念日でもあった3.11に逢うことができなかったのだから。
一生君を護ると言っておきながら、できなかった俺の十字架。
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