100%の愛をきみに

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* 「ギャッハッハッハッハ!」 「おまえ、そんなに笑うことねぇだろ。ぶっ飛ばすぞ」  中庭の掃除中、出会った美女に思わず告白した俺は、あのあと見事に玉砕した。  結果として、俺は彼女に名前すら教えてもらえなかった。  けれど、学年によって色が違う彼女の制服のリボンが、俺と同じ学年を表していた。  一年の時も二年の時も俺とクラスの違った川瀬(かわせ)は、もしかしたら彼女のことを知っているかもしれない。  そんな思いから、中学の頃からの仲の川瀬に彼女のことを聞いたら、根掘り葉掘り今日のことを聞かれて、その結果がこれだ。  人のこと、さんざん笑いやがって。 「だって、見た瞬間好きになって、瞬間告るとか……っ! そんなやついるんだ」  ひーっと高い声をあげて笑い涙まで流す川瀬の頭を、俺はとうとう一発殴ってやった。 「……で、おまえは彼女のこと知ってんの?」 「それ、氷室(ひむろ)優理花(ゆりか)でしょ。去年の俺のクラスの委員長」 「氷室優理花……」  そうか、あの子は優理花っていうのか。  凛とした美しい彼女にぴったりの名前だ。 「まさかおまえ、氷室に本気なの?」 「は?」 「やめとけよ。あいつ確かに美人だけど、優等生過ぎて、不良呼ばわりされてる俺らと釣り合わねーって。現に、オトモダチになるのも断られたんだろ?」  またもやケタケタと笑いながらそう言ってくる川瀬の脇をド突けば、ぐはっと川瀬の情けない悲鳴が聞こえる。 「何だよ、事実じゃん。氷室さんに、不良っぽい人は苦手だってはっきり言われたんだろ?」 「……そうだけど、おまえに言われるとムカつく」  好きになった瞬間、名前もわからない女子に告ってフラれるのはまぁ仕方ない。  けれど、俺は彼女──優理花と友達になろうとしても、そんな理由で彼女に断られたのだ。 「何だよ、不良っぽいって……」 「言葉のまんまだろ。特に今のおまえなんて、その頭じゃ不良にしか見えねぇもん」  確かにその通りだけど、俺の金髪を指していちいちムカつく言い方をしてくる川瀬を思わずにらみつけた。 「それ以上言ったらマジで殺す」  さすがの川瀬も、俺が本気でキレそうになったのに気づいたらしい。 「そう怒るなよ。俺も協力してやるから」 「協力……?」 「おう!」  川瀬に協力と言われてもあまり期待をするつもりはないが、少しだけ心強かった。  そんなこと、川瀬には絶対に言わないが。
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