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大きなホールに入ると、中は学校の食堂のような構造になっていた。 奥には調理場のような場所も見えた。 どんどん人が集まってくる。 80人は集まっただろうか。 男も女もいた。 子どもも、老人もいるようだった。 全員デブだった。 先ほどのリーダーシップのあるデブが声を張り上げる。 オペラ歌手のようなバリトンボイスが食堂に響き渡った。 「何故私たちが集められたか知ってる者はいるか!」 それぞれが顔を見合わせた。誰も知らないらしい。 「いったい何故私たちがこんなところに集められたのだ・・・」 デブだからじゃないかなと思ったが、空気が悪くなりそうなのでボブは黙っていた。 「みんなデブだからじゃない?」 純粋そうなデブが大声で言い放った。 空気読めよとボブは思った。 「それはわかっとる!」 デブたちはみんな頷いていた。 しばらく無言が続いたが、やや美人なデブがすすり泣きを始めた。 「わたし、おうちに帰りたい。パパとママはどこなの?もうご飯の時間は過ぎてるのに・・・」 食堂の空気が重くなった。 気持ちは全員同じだった。 重いのは体重だけでいいのに、と思い付いたボブは少しにやけそうになったが、必死にこらえていた。 「重いのは体重だけでいいのに、空気まで重くなっちゃったね!」 またも純粋そうなデブが言い放った。 コイツは黙らせたほうがいいかもしれない、と思いながらボブは下を向いて唇を噛みながら笑いを堪えていた。
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