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「A組みんないるかー。出発するぞー」
先生の声掛けに触発されるように、バスに乗り込んだ私の舞い上がる気持ちは止まることを知らない。
隣の生徒が日野坂くんだってことだけが唯一減点ポイントだとしても、この独特の揺れ具合だとか窓から車を見下ろせる景色に感動した。
初めて乗るバスは最高だった。
「ひ、日野坂くん」
――すこぶる気分が悪くなるまで、は。
「日野坂くん、私もしかしたら誰かに毒を盛られたかもしれない」
「アンタ本当に頭おかしいんじゃない?どっか病気なの?」
「この辺がムカムカする、吐きそう……うぷっ」
「(こいつ……っ、酔ってる)」
あれだけ元気に朝ご飯を食べてきたと言うのに、今はその全てをリバースしてしまいそうで数時間前の自分に後悔する。
ただ座っていただけなのに、心躍らせていた時とは一変して“ここから降りたい”になってしまった。
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