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伯父は暫し僕の顔を見ながら考え込んだ。
小さい頃から見慣れていて、僕としては何とも思わないんだが、こうして改めて見ると、伯父はなかなかのイケメンだ。伯父や母の父親、つまり僕にとってのじいちゃんが、かなりの美形だったらしい。
「……なあ、ミチル」
ややあって、伯父が口を開いた。
「……なに?」
無意識に警戒心が強まる。
「おまえ……あさって入学式だったな。なんて高校だ?」
「……キツネ高校だけど?」
伯父たちの怪訝そうな表情が驚愕に変わった。何だって言うんだ、まったく。
「あー……ふうん、なるほど」
「なるほどってなんだよ?」
伯父と母は、なにやら意味深に互いの顔を見て、それから僕に視線を戻した時は、気味が悪いほどの笑みを顔に張り付けていた。
「あー、まあ、心配すんな、ミチル」
「はあ?」
「ま、大概は一時的なもんだからよ」
「そうそう、心配しなくても、いつの間にか元通りになるんだから」
二人の言ってる意味が、さっぱり解らない。
「まあ、大抵は言葉が喋れるか喋れねぇかの、物心つくかどうかってくらいにかかるんだがよ……」
「お母さんがかかったのは、幼稚園の年長さんの時だったわ。でもまわりはみんな“可愛いわね”って、特に何とも思われなかったし、1週間くらいで治まったのよ」
「俺は小5ん時だ。いやー、あん時はさすがに……まあでもホラ、俺は3日で治っ──」
「ストーップ!」
訳の解らない思い出話に花を咲かせていた二人は、僕の声にぎょっとして押し黙った。
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