金無和也1

田村殺す!

「メタノールを目に垂らすと失明するかな?」
　片原が恐ろしいことを言った。
「田村にやってやりてぇ」
　田村ってのはフェアウェイ時代の上司だ。
　坂上田村麻呂の血を引いてるらしい。
「ダメだからね?やったら」
　板井はフェルトペンを田村にしゃぶらせて中毒死させてやりたった。(田村を殺すのは俺だ!)
　ミルクとナフタリンでも効果があるんだ。

　金無和也は白河にやって来た。
　金売り吉次の伝説が残っている。
　白河小峰城は桜と雪がいい感じだ。
　スゴいキレイ。
　ドストエフスキーの『罪と罰』は、金に困ったって理由で青年が老婆とその妹を殺す。現実社会でもアポ電殺人が起きた。
　金無は神戸月の里でヘルパーをしていたが、利用者の紺野ってババァから殴られたり、看護士から嫌がらせを受けていた。
　金がないから中に入らずに外観だけを双眼鏡で見た。
　旅館に戻り、ロビーで新聞を見た。
　紙幣が変わる。
　野口英世、樋口一葉、福沢諭吉を見られるのも残り少ない。新渡戸稲造を大河でやっても面白いかもな?

　統一地方選虚が行われていた。
　蒲生、丹羽、田村の3市挑戦。
　片原はまだ腹が減っていた。
　だが、食べられない。　　
　仁八そば食いたい。
　田村は白河駅前の小さなビルを選挙として借りていた。深夜、刺客に撃たれた。
　スーツの背中に2つの穴が開いた。
　二筋の煙が上って消えた。
『新生白河市、もっと力強く!もっと素敵な花を』
　それが田村の掲げたスローガンだった。