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第2話 首都ラグージェ
ザークが乗ってきた馬車に幾斗は乗せてもらい国王がいる宮殿のある首都ラグージェに向かう事にした。
ラグージェに向かう途中幾斗はザークに聞いた。
「あのさー」
「はい!なんでしょうか!勇者様!」
ザークは元気よく返事した。
「今から向かうラグージェってどんな所なの?」
知らない土地に来た幾斗は今から向かう場所について知りたくザークに聞いたのだった。
ザークは幾斗に言った。
「勇者様ラグージェのこと知らないんですねーではこのザークがお教え致しましょう!!」
ザークは胸を拳で叩いて意気揚々とラグージェについて話始めた。
「首都ラグージェとは、今の国王が新しく地区統制して作られた都で非常に豊かで活気溢れる街には変わりはないのですが…少し市民には居づらい都なので基本王族や貴族などしか住んでいる人は見かけませんね…」
幾斗はそれを聞いてなんとなく首都の有様が見えた気がした。
「なるほどね…」
すると、ザークが幾斗に聞いた。
「勇者様はその手紙がある限り大丈夫でしょうー勇者様はこの国では王と同一の権限を持ち合わせますからー」
その言葉に幾斗が驚いた。
「それは本当か?!」
「はい…ですが、その招待状はあくまで勇者同士の顔見せの披露宴の招待状です」
ザークは申し訳なさそうに言い、話を続けた。
「先程も言いました通り限られた人に送っていますので1人とは限りません何人も同じ手紙を持った人達がラグージェに集まってきます、それに今年は王が前例のないことをされたとか噂されていますし…」
幾斗は前例のないことに引っかかっていた。
「(もしかしたら…前例のないことって…僕か…?)」
「前例のないことって噂で聞かなかったんですか?」
すると、ザークは幾斗にペラペラ喋り始めた。
「流石にそこまでは…でも今の国王は荒くれ者で何をするか分からない人ですので頼みの綱の勇者様は去年亡くなりになられましたし…今は誰も止める者はいなくて国民が困ってるぐらいですよーそしてこの勇者の話ですから…」
疲れた様子のザークに幾斗は言った。
「お気の毒だな…」
「はい…本当に…」
すると、馬車の中から遠い所に街が見えて来た。
「あの街がラグージェなのか?」
そう幾斗が聞くとザークは答えた。
「はい!遠くから見ると綺麗なんですけどね…」
「そうだね…」
幾斗は遠くからラグージェを見て首都東強(とうきょう)を思い出していた。
「(そういえば僕の所の首都東強も結構高い所から見ると綺麗だったな…)」
山の峠を降りると門番みたいな男達が立っていた。
「貴様!何用だ?」
ザークは怯えながら言った。
「ゆっ…ゆゆ勇者候補様が森で迷っていましたので送り届けました!」
すると、門番はザークに猟銃のようなものを突きつけた。
「そんな訳ないだろ勇者候補様が森で迷ってるなんてないに決まってる!貴様!何をしに来た!!この国ラグージェは神聖な貴族の国なんだぞ!」
幾人は荷台から門番の傲慢な言葉に腹が立ち馬車から降りた。
「貴族だがなんだか知らねーけど俺はてめぇの国の王に呼ばれてんだよ!」
そう言いながら手紙を門番の顔に見せつけた。
門番はびっくりした顔でその場の地面に顔を擦り付けた。
「申し訳ありません!ほ…本当に勇者候補様が乗っているとは…どうか斬首だけは…お許しください!!」
幾人は地面に頭を擦り付ける門番が可哀想に見えて門番の隣で座って言った。
「頭上げてください…そんなに頭下げられると…」
すると、門番は幾人の足を掴みながら言った。
「私には…私には…家族が…」
「いゃいゃ斬首なんか怖いことしませんから、1つお願いがあるんですが…」
門番は幾人は首を傾げた。
「なんでしょう…?」
すると、幾人は言った。
「僕の為に尽くして貰えませんか?これは門番さんだけじゃなくてザークにも言いたいんですけどね」
いきなり呼ばれたザークはびっくりした。
「私ですか?!」
「もちろん!ちょっと勇者候補に選ばれたならしたいことが少し決まったんで…」
門番は幾人に首を縦に振った。
「もちろん!それで命が助かるのであれば!!」
「じゃあ交渉成立ですねー」
幾人は門番の手をギュッと握り握手を交わして自己紹介した。
「僕は浅霧幾人だよろしく、門番さんは?」
「イル・シェバールドだ、よろしく」
すると、早速幾人はイルに言った。
「なら早速なんだけど、頼みごとなんだけど…」
「なんだ?」
「イルにはスパイをしてもらっていい?」
幾人は笑いながら言うと、スパイの意味を分からないイルは聞いた。
「スパイとは?」
「国を裏切って僕の味方になって敵の情報を僕に内緒で教える役だよ!」
幾人が笑いながら言った言葉にイルは唖然としながら少し苦笑いしながら言った。
「さっき…死んでた方がよかったかも…」
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