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幾人はスパイに任命したイルを門に残し馬車に乗りラグージェの中に入った。
「何するつもりなんだ?」
ザークは不思議に思い聞いた。
「内緒!」
ウキウキしたような顔を見せながら幾人はザークに言った。
すると、ザークはまだ心配そうにしていた。
「まだ安心なんて出来ないですよ…言ってもあそこはラグージェの1番外側の門ですよ?」
すると、幾人は言った。
「大丈夫!それが最初に任せたイルへの仕事だからな!」
「仕事?」
幾人は荷台から見えるザークの背中を叩いて言った。
「まぁ…次の門に着いたら分かるだろう…」
「なら…いいが…それにまだ次の門に着くまで村を2つ超えなければつかないからな…」
それに幾人は驚いた。
「そんなにあるのか?」
ザークは言った。
「ラグージェの1番外側は1番身分の低い…いゃ身分すら持たして貰えない飢えと貧困に溢れる街だ」
「(それって…向こうで言うスラム街…だよな…)」
幾人は少し怯えているとザークは言った。
「気をつけて下さいね!」
「やっぱり襲われるのか?」
すると、ザークは笑いながら言った。
「そんな力の強い人はいないですよ…飢えもある街ですから」
「じゃあ何に気をつけるんだ?」
ザークは馬車を止めて言った。
「それは物乞いと病ですよ」
「物乞いは分かるが…気をつけるほどでもないだろう…病は危険なのは分かるけど…」
ザークは馬車の中に入って幾人に言った。
「物乞いの方が危険に決まってるでしょ!特に勇者なら狙われて当たり前!物乞いは物乞いでもあいつ達が求めているのは食料!つまり…」
「つまり…」
(ゴクッ…!)
ザークは唾を飲み恐る恐る言った。
「私達の肉だ…」
その答えに幾人は声が出なかった。
急に異世界に来たワクワクが血の気が引くのと同時に引いていき、雰囲気は一気に凍りつきバイオレンスホラーの世界に迷い込んだ気分になった…。
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