第2話 首都ラグージェ

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幾人はスパイに任命したイルを門に残し馬車に乗りラグージェの中に入った。 「何するつもりなんだ?」 ザークは不思議に思い聞いた。 「内緒!」 ウキウキしたような顔を見せながら幾人はザークに言った。 すると、ザークはまだ心配そうにしていた。 「まだ安心なんて出来ないですよ…言ってもあそこはラグージェの1番外側の門ですよ?」 すると、幾人は言った。 「大丈夫!それが最初に任せたイルへの仕事だからな!」 「仕事?」 幾人は荷台から見えるザークの背中を叩いて言った。 「まぁ…次の門に着いたら分かるだろう…」 「なら…いいが…それにまだ次の門に着くまで村を2つ超えなければつかないからな…」 それに幾人は驚いた。 「そんなにあるのか?」 ザークは言った。 「ラグージェの1番外側は1番身分の低い…いゃ身分すら持たして貰えない飢えと貧困に溢れる街だ」 「(それって…向こうで言うスラム街…だよな…)」 幾人は少し怯えているとザークは言った。 「気をつけて下さいね!」 「やっぱり襲われるのか?」 すると、ザークは笑いながら言った。 「そんな力の強い人はいないですよ…飢えもある街ですから」 「じゃあ何に気をつけるんだ?」 ザークは馬車を止めて言った。 「それは物乞いと病ですよ」 「物乞いは分かるが…気をつけるほどでもないだろう…病は危険なのは分かるけど…」 ザークは馬車の中に入って幾人に言った。 「物乞いの方が危険に決まってるでしょ!特に勇者なら狙われて当たり前!物乞いは物乞いでもあいつ達が求めているのは食料!つまり…」 「つまり…」 (ゴクッ…!) ザークは唾を飲み恐る恐る言った。 「私達の肉だ…」 その答えに幾人は声が出なかった。 急に異世界に来たワクワクが血の気が引くのと同時に引いていき、雰囲気は一気に凍りつきバイオレンスホラーの世界に迷い込んだ気分になった…。
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