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子供達の部屋が見えてくると、ドアの隙間から光が漏れているのに気づく。扉の隙間から微かに2人分の声も聞こえてくる。
どうやらまだ眠ていないようだ。と僅かに笑みを浮かべ扉を開いた。
「あ!父上!」
「お父様だ!」
「2人とも。早く寝ないとまた寝坊して、ミラに叱られるぞ。」
早く寝るように促すが顔には優しい笑が浮かんでいる。
子供たちは父の登場に喜びながら、少し興奮したようにそれぞれ言い訳を述べてきた。
「だって!サニーが怖い話ばかりするんだ!」
「ルアが怖がりなだけよ!ルアが明かりを消してくれたら、私は直ぐに眠れるわ。」
「ダメだよ!明かりを消したら、大きな鎌を持った人が来ちゃう!その人はね、昔この城で殺されてしまったんだ。可哀想に廊下にある大きな花瓶に躓いて、転げ出た先にあった飾りの鎧にぶつかって、それでその拍子にその鎧が倒れ来て……その人を押し潰してしまったんだ。それで今度は大きな鎌が……」
無駄に詳しく説明し出したルアー。恐怖からか、哀れみからなのか今にも涙が零れ落ちそうだ。それを見てサニーはケラケラと笑っている。
しかし、国王にはその話に既視感を覚えていた。そして、思い至り思わず堪えきれずに笑ってしまう。
「っふ、ははは!」
国王である父親の珍しい姿に子供達は不思議そうに首を傾げた。
「どうしたのお父様?」
「ゴホン。…いや、なんでもないさ。それより、こんなことで泣いていてどうする。お前はもう少ししっかりしなければ、将来人々を導くことできないぞ?」
「グス。…うん。」
「ルアには無理よ!だって男の子なのに私よりも怖がりで弱いもの」
サニーにそう言われ、涙が止まりかけていたルアの瞳にまた涙が浮かんでしまう。
「はは、ルアはほんとうに泣き虫だな。だが、おまえは誰よりも優しい。しかし、人々を導くには簡単に涙を見せてはいけない。
…だから強くなれ。
そうすればお前は誰よりも優しく、強い王になれる。まぁ焦らずに、時間をかけてゆっくり学べばいいさ。」
「…ボク強くなれる?」
大丈夫だ、と伝えながらすんすんと鼻をすするルアの頭に手を置き、優しく撫でる。
王としては優しすぎる説教になってしまったなと自分に呆れる。
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