子供達に贈る物語

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「ルアの泣き虫ー」 馬鹿にしたように笑いながら、弟をいじめるサニー。 「サニー。お前は、お前は強い心を持っている。だが、強い心の使い方を間違えてはいけない。もう少し人を想いやる気持ちを持たないといけないな。まぁもう少し、人の身になって考えられるようになれば、分かるようになる。お前にはそれが出来るはずだ。」 「うー。でもルアが…」 「人のせいにしてはいけない。ほら、こんな時はどうすればいいか分かっているだろう?」 「……ルア。ごめんなさい。」 「ズビ。大丈夫、ボク強いもん。」 (会わせてやりたいな… きっとすぐに打ち解けるのだろうな。) ふと、そんな思いが浮かんだ。 「2人とも偉いぞ!」 そう言いながら、愛情をたっぷり込めて両手でそれぞれの頭を撫でる。 「うっ。い、痛たぃ~」 「わ、髪の毛がボサボサになっちゃう!」 少し、撫で方が乱暴になってしまったようで子供達から文句が上がってしまたが… 「すまん、すまん。」 そう子供達に謝りながら、今度は優しく撫で付ける。 「ほら、そろそろ寝なさい。」 「父上、ボクが寝るまで傍に居てくれる?」 先程は強がっていたがまだ怖いようだ。目を潤ませながらせがんでくる。 「はは、まだまだ子供だな。しかし、こうして話すのも久しい。お前たちが寝るまでそばに居るとしよう。」 「やった!じゃぁお父様、何かお話して!」 「ぼく怖くない話がいい!」 子供達は、普段ゆっくりと話をする機会の少ない父親が一緒にいてくれることが嬉しく、ここぞとばかりに可愛いわがままを言い、傍に寄ってくる。 (これは暫く戻れそうにないな。ミラに私が叱られてしまう…。しかし可愛すぎて私が離れたくない。) 「話か、そうだな… では、英雄外伝なんてのはどうだ?」 「がいでん??」 「そうだ。英雄物語のだれも知らない噺をしてやろう。」 「英雄物語!僕大好き!」 「私も大好き!お父様の話だもの!」 子供たちの反応の良さに口煩い乳母のことは頭の隅にお追いやられる。 「だがこの噺の主人公は俺じゃないぞ。」 「「えーー」」 「この話の主人公はとにかく話が通じないやつだ!」 「主人公なのに?」 「僕父上の話が聞きたい」 「まぁ、聞きなさい。おまえたちには知っておいてほしい噺でもあるからな。」 そうして語り始めるのは何年経とうと色褪せることの無い、本当にあった奇跡の様な物語。 王様にとっては大切な大切な思い出。 英雄外伝 はじまりはじまり・・・
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