Goodbye June ―水無瀬side―

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梅雨真っ盛り。雨、雨、雨。 基本晴れ男の俺でも、さすがに梅雨には敵わんな…… じめじめした日が続いて、気も滅入っていた今日この頃。 カーテンの向こうが明るくて目が覚めて、 思わず小さくガッツポーズをきめた。 「よっしゃ、晴れてる!」 先週の雨続きが嘘のように、空気がカラッとした気持ちのいい金曜日の朝。 やっと外で走れる……! 陸上部にとって、梅雨の時期ほど退屈なもんはない。 筋トレ、ひたすら筋トレ! 体育館はアウェイだし、階段ダッシュも飽きたし、そろそろ思いきり走らないと身体が鈍っちまう。 俺は鼻歌混じりにスマホをタップする。 『神月(かんづき)ぃ~!晴れたな!絶好のラン日和!』 トトトト……と慣れた動作でメッセージを送ると、寝巻き姿のまま階段をかけ下りた。 「かあちゃーん、ジャージ乾いてるー?」 ―――6月の終わり、貴重な梅雨の晴れ間。 まさか、こんな日に“青天の霹靂”を食らうことになるなんて、思いもしないだろ?
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