Goodbye June ―水無瀬side―

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「お先~」 「おつかれっしたー!」 後輩達の声を背中に受けながら、 部室を後にして校門を抜ける。 日が落ち始めた帰り道。 河川敷の土手の上から川を見下ろすと、夕日がオレンジ色の無数の光となって、キラキラと水面に反射してる。 ずっと雨続きだったから、久しぶりに拝めた気がする。 俺、何気にこの風景が好きだ。 なんか、いかにも青春って感じするじゃん。 ……なんて、周りの奴等に言った日にゃ、ロマンチスト呼ばわりされそうでハズいから絶対言わないけど! 「はー、動いた動いた!」 俺がんんーっ!と大きく伸びをしながら振り返ると、 神月(かんづき)が呆れたような表情をこちらに向けた。 「水無瀬(みなせ)お前、テンション上がって飛ばしすぎなんだよ。子供か」 「だって久しぶりじゃん、こんなに晴れたの!」 俺の少し後ろを気怠そうに歩くコイツは、 中学の頃からクラスも部活も一緒の、神月。 ウチの高校は1学年6クラスあるから、二年連続で同じクラスになるのも結構奇跡。 それが中学1年からずっと一緒ってな訳だから、 周りからは「神月は水無瀬の保護者」なんて言われて、神月からは“不名誉な肩書き”だと迷惑がられてたりする。 つうか、子供扱いされてる俺が一番不名誉な気がすんだけど……
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