占い師ヒナコ姐さんの百円水晶 ーサバイバルナイフの少女ー

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 このハイヒール、デザインは気に入っているけど、実は履き心地がイマイチなのよん。脚が疲れてきたから、ワタクシも腰を掛けたいの。一歩また二歩と左にずれて頂戴な。それにしても、ベンチ中央に置かれている、その安っぽいスクールバッグがすっごく邪魔ね。  ねえねえ、貴女って本当に女子高生?   一応、制服を身にまとっているけれども、実は、そこら辺のお店で働いているなんちゃって女子校生じゃないわよね。この街は或る意味で異常なの。だって病院もない街角でミニスカ看護婦さんが笑顔を振りまいて突っ立っているのだから。  ちょっと失礼……くんくんくん。  牛乳ぽい匂い。これは間違いなくケツの青いガキ。本物の女子高生ってわけね。はいはい分かりました。信じましょ。  それからワタクシのことはヒナコ姐さんと呼んで宜しくてよ。昼間その名で呼ばれれば、「何この子馴れ馴れしく呼ばないで、図々しいにも程があるわ!」って思うけどぉ。今、ワタクシはちょうど良いほろ酔い加減でご機嫌よろしいから、おおいに許しちゃうわ。  それでは、御免あそばせ。よっころせっと。  って、何? まるで公園に置かれたシーソーみたいに、今度は貴女が立ち上がろうとするわけ? 「アタシ、向こうのベンチに場所変えるから」?  どうして、どうしてよぉん? ようやく見つけたお目当ての御方だったのに……って、コレはワタクシの独り言ですから、貴女は別に気にしなくても良くてよ、うふふふ。 「オバサン、ウザッ」?     
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