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エピローグ
「すまなかったな」
デュークはそう告げると、スカーレットを人間の街のはずれに下ろす。そこには赤いシャツとサロペットジーンズを身に纏ったマリオンとその伴の者が迎えに来ていた。
「怪我はなかったかい?酷い扱いはされなかったかい?」
「ううん。むしろ、とても大事に扱ってもらったわ。だからこれ以上責めるのはやめてあげて」
「わかったよ」
マリオンとスカーレットの会話が聞こえてきた。穢れた非情な生き物だと思っていたが、そこまで捨てたものではないのかも知れないとデュークは思い始めていた。
「これで良かったのか?」
デュークはそうハーディングに問いかける。
「辛いお気持ちはお察ししますが、国を治める者、私情は捨てねばならぬときもございます」
ハーディングは深く頷いた後、そう進言した。
「この国、立ち直るか?下級の魔物の生活はかなり苦しくなったと思われるが」
デュークの問いかけに対し、
「そこを立て直すのが、私の仕事でございます」
ハーディングはそう胸を張って答えた。
デュークとハーディングはマリオン達に背を向けて自らの城を目指して歩き出す。真っ赤な夕焼けが空一面に広がっていた。
【終わり】
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