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「これは、ミスリルペニーに含まれる成分の割合です。多少の誤差はありますが、概ねミスリル、金、銀が1:1:3になるように配合されています。この比率を変更することで、ミスリルペニーが持つ魔力を大きく軽減できるんですよ。ですから思い切って貨幣の改鋳をなさってみてはいかがですか?たとえば、重さは変えずにミスリル:金:銀が1:1:8になるような形に作り変えれば……」
「貨幣の質を悪くせよと申すのか?」
デュークの問いに対しシャーロックは深く頷く。
「はい。貨幣自体の品質を変えれば、ミスリルペニーは魔力を失い、ワンアップなどという忌まわしい現象は確実に防ぐことができます。メリットはそれだけではありません。今般、マリオンの侵攻に伴い軍事費は増大の一途を辿っております。希少金属であるミスリルと金の含有割合を減らし、その分ミスリルペニーの発行枚数を増やす。こうすれば金庫を圧迫することなく軍事費を確保することができます」
「なるほど……良策だな。では早速とりかかれ」
デュークの命を受け、シャーロックは早速瞬間移動魔法を唱え、造幣所へと向かった。
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