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キングリザードに連れられて、縄を打たれボロボロの服を身にまとったゴブリンが玉座の前へと連れて来られた。げっそりと痩せこけたそのゴブリンは哀願するような目でデュークを見つめる。
「私に何かを訴えようとして兵士に止められたそうだな」
デュークがそう問いかけると、ゴブリンは頭を下げた。
「お願い致します。私は首をはねられても構いません。我々の生活を、救って下さい」
「こやつに魔水を飲ませよ」
ゴブリンの切実な声を耳にしたデュークはキングリザードにそう命じた。魔水を口にしたゴブリンの顔色は徐々に血色を取り戻していく。
「何があったのか、詳しく申してみよ」
デュークはゴブリンにそう語りかけた。すると、
「麦、野菜などすべての食料の値段が高すぎて買えず、種族もろとも皆餓死寸前なんです」
と、ゴブリンは訴えかける。
「ふむ……そんなに高いのか?」
「はい。2ヶ月前に比べて倍、いや、3倍に近いくらいの値段です。これではとても……」
ゴブリンはそう切々と訴える。
「あいわかった。対策を考えることを約束しよう。下がれ。それとこやつの縄は解いてやれ。よいな?」
デュークがそう告げると、キングリザードはゴブリンの縄をほどき玉座の間をあとにした。
「でもどうしてだ?別に不作というわけでもなかろう」
「その訳、教えて差し上げましょうか?」
デュークの独り言に答えるかのように声を上げたのはハーディングだった。
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