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不自然な改鋳
ハーディングは改鋳前のミスリルペニーを左手に、改鋳後のミスリルペニーを右手に持った。
「ここにあるのは前のミスリルペニー。ミスリルと金と銀の比率は1:1:3でしたね?そしてこちらが現在のミスリルペニー。比率は1:1:8です。銀の割合は倍以上となり、地金の価値は改鋳後、半分程度になっています」
「だからどうだというのだ?」
「価値を半分に下げた硬貨が以前の倍の量出回っている、これが今の町の現状なのです。倍の量の貨幣が出回れば、貨幣自体の価値は半減します。その分物価は上がり経済は混乱する。今の町の混乱は新しいミスリルペニーが招いています」
ハーディングはまっすぐにデュークの顔を見上げながらそう言い切った。
「だがこれは穢れた人間どもから国を守るため、そしてスカーレットを穢れた人間から守るためのものだ。致し方のないことだろう」
「それが本当に一点の曇りもない正義ならば、の話です。無用な戦は避けるべきことこそが真の正義。無益な戦によりいたずらに多くの魔族が命を落とすことこそ、王としては避けなければなりません」
ハーディングはデュークの声に臆することなく真っ向から異論を唱えた。
「人間どもと戦うのをやめよと申すのか?スカーレットを諦めよと申すのか?スカーレットが穢れた人間どもの手に落ちるところを指をくわえて見ていろと申すのか?」
デュークはハーディングを睨みつけながら言葉を放つ。ハーディングは体を震わせながらも再び口を開いた。
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