摘発

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摘発

 階段を降りたところには重い鉄扉が待ち構えていた。ハーディングは引き連れてきた上級兵達に目配せをすると、意を決して扉を開いた。 「動くな!」  中に一歩踏み込んだ瞬間、ハーディングはそう怒鳴りつける。上級兵どもが続々と地下室の中に入り込む中、ゴブリン達はスパナやドライバーを床に置いて両手を挙げる。扉の中には解体された機材の部品やネジの類、そして金、銀、ミスリルといった金属の塊が置かれていた。 「誰に命じられた?」  ハーディングが一匹のゴブリンをそう問いただすと、無言で首を横に振った。 「大丈夫だ。お前のことを悪いようにはしない。シャーロックの指示だな?」  ゴブリンは黙って首を縦に振る。 「やはりそうか……」  ハーディングはそう1人つぶやくと、残務処理を兵士達に任せて城へと戻っていった。
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