一章

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その時、体育館の照明が落とされて、薄暗くなった。 そして、ステージに飾られていたクスダマに、スポットライトが集中する。 偉そうな宇宙人が一人、クスダマのひもを引っ張ると、 中から長い紙がペラッと出て、その紙に書かれた文字はまるで掛け軸のように主張した。 ご丁寧に日本語で、「ノアの箱舟学園にようこそ!」だってよ。 俺しか読めない文字で歓迎されても困るんだよ、責任が重いじゃないか! クスダマを開ける事は感極まる事態だったらしく、宇宙人たちは泣いて喜んだ。 ちょっと待って、盛大な拍手で余計に俺をアウェイにするなよ! というか同級生は誰も理解していないぞ、そんな感動シーンだって事を。 拍手の音がうるさくて尚更パニクッているのが地球の生き物なわけだけど、 きっと、暴れるほどに喜ばれていると勘違いされているに違いない。
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