迷惑メール

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「うっわぁ、マジかよ……」 宗司は札束が入った封筒と美穂が去った方角を交互に見る。 「柔らかかったなぁ……」 美穂の胸に挟まれた肩に触れると、宗司は近くにあるコンビニのトイレに引きこもった。男性特有の生理現象を済ませると、ようやく落ち着いた。 「ふぅ……。ん? 待てよ……」 (100万円持ってることは黙ってないとな。なんたって金に意地汚い要だ……。あぁ、カバンも手放せないぞ……) 宗司は重たい足取りでトイレから出る。ふと、ATMが視界に入った。 「そうだ、入金すればいいんだ」 さっそく財布を取り出すが、すぐに財布をしまった。 「そういやキャッシュカード、持ってないんだ……」 キャッシュカードがあるとどこでも下ろせてしまうからと、宗司は通帳と一緒にして、棚の中にしまっているのだ。 「今日1日は長そうだ……」 宗司は待ち合わせ場所に戻ると、そわそわしながら要を待った。大金を持っているせいか、人の目が気になってしまう。 「はやく来いよな……。それとも今回は俺がドタキャンしてやるか!?」 口に出して言うものの、宗司にドタキャンするつもりはない。過去に何度かドタキャンされたことがあり、されるとどれほど嫌な思いをするのかはよくわかっているからだ。 要が来たのは9時10分前。これでも要にしてははやく来たほうだ。 「ごめん、おまたせ」 口ではそう言うものの、悪びれる様子は微塵もない。 「なにしてたんだよ、待ち合わせ時間過ぎてんだろ!」 宗司が怒鳴ると要は一瞬キョトンとし、申し訳なさそうに眉尻を下げた。 「ごめん、そんな怒ると思ってなくて……」 「あ、いや……、こちらこそなんかごめん……」 宗司自身も自分が怒鳴ったのに驚き、気まずくなりながらも謝罪した。
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