迷惑メール

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ふたりはファミレスにつくと喫煙席に座った。 「なににしようかな」 楽しそうにメニュー表を眺める要を見やったあと、宗司もメニュー表に目を落とす。 (100万円あったら、何回ここのメニュー全品頼めんだろ?) ふたりがメニュー表を見ていると、横の席に中年サラリーマンがふたり座った。 「今月もう金ねーよ」 「お前は飲みすぎなんだよ」 サラリーマン達はゲラゲラ笑う。 「あーあ、100万円あればたらふく飲めるのによ」 サラリーマンの言葉に、宗司は肩を揺らした。 「どうした、宗司」 前を向けば要は心配そうな目をしている。 「いや、なんでもない」 宗司は再びメニュー表を見るが、まともに頭が回らず、よく頼むハンバーグセットを注文した。 食事が運ばれるのを待っている間も食べている間も周りが気になり、宗司はずっと聞き耳を立てている。先程のサラリーマンだけでなく、他の客達も金銭関連の話をする度に、食事をする宗司の手は止まる。 「ねぇ、宝くじあんだけ買ったんだし、当たるよね? 少なくとも100万円くらいは」 「畜生、またギャンブルで金擦っちまったよ……。誰か恵んでくれないものかね?」 「おい、あの兄ちゃん大事そうにカバン抱えてんぞ。札束でも持ってるのかね?」 周囲の目が気になり、ハンバーグの味もよく分からない。ついには噛むことすら忘れ、ハンバーグを喉に詰まらせた。 「んぐぐぐっ!」 パニックになり胸を叩くが、ハンバーグは落ちそうにない。 「宗司!? ほら、水飲んで!」 要に水を差し出され、一気に飲み干す。ハンバーグはなんとか胃に落ちた。 「ふぅ、なんとか助かった……」 宗司は胸をさすって息を吐く。 「今日の宗司、やっぱりおかしいよ。なにがあったんだ?」 「実はな……」 心配そうに自分を見る要に話しそうになり、宗司は口をつむんだ。
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