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毎年2月14日のバレンタインデーには、紙袋にたくさんのチョコをもらってくる零ちゃん。
一昨年は100個くらい、去年は150個を越えてた。
今年は去年よりたくさんもらうんだろうな。
零ちゃんが友達と歩くその後ろをトコトコとついてく。
「一条、おまえはいいよな。クラスの女子からも後輩からもチョコをたくさんもらえるんだからさ。俺もおまえみたいにもらえたらバレンタインも楽しいんだろうけどな~。去年何個もらったんだっけ?」
「さあ、何個もらったかなんてわからねえな。いちいち数えてねーし」
零ちゃんは学校一のイケメンで頭もずば抜けていい。
運動神経も抜群。
細身なのにケンカが強くて女子だけでなくて男子も一目置いてた。
登校して零ちゃんがロッカーを開けると、入りきらないほどのラッピングされたチョコの山が雪崩をおこして床に散らばった。
「すげえな、一条」
「………」
零ちゃんはため息を吐いた。
たくさんのチョコをもらってもなんだか嬉しそうじゃない。
散らばったチョコをそのまま置いていこうとして、わたしは慌ててそのチョコたちを拾った。
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