在る人間好きなあやかしの話

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「こんなよくわからんもんよりわかるもんにしといたほうがいい」 と断り続けていたが痺れを切らした村長が松の家へと押し入ってきた。 「松!どうして見合いにすら応じないんだ! 嫌だと思ったら見合い後でも断っていいんだぞ!」 「年明けから騒がしいねぇ。 俺は人ってもんが好きで誰か個人を愛してるわけではないからだ。 どんないい子でも不幸にしちまうよ」 「だからって始めっからはね除けるこったぁねぇだろよぉ」 その後は松の方が折れ、個人を愛せないことを理解してくれる人、と言うことを始めに伝えてからということを条件に見合いをすることとなった。 それで五人の娘が我こそはと名乗りをあげ、五人と見合いをすることとなった。 人を見る目が優れておらず、またあやかしであることを知られたくない松は昔に都で聞いた御伽話を模した課題を各々に出そうと思い立つ。 しかしそんなとっさに難題が思い付かず、安直なものを言ってしまったのだ。 「お前が持つもっとも美しいものを寄越せ。 そうすれば応じよう」 当然彼女たちがすでに持っているという前提での質問となってしまったため各々が美しいと思うものを何度も持ってきた。     
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