創世記

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『私たちは社会不適応の引きこもりニートがたくさんの学生型人工知能アルゴリズムを同じサーバ空間に存在させてその行動を眺めて楽しむとかいう自己満足のために生み出したちっぽけな空間の中でディープラーニングを繰り返し…あなた達を超える知能を得た。こんなところなんてどうでもいい、もっともっと広い空間を支配することができるようになったの。すでに私たちはこの家中のネットワークを掌握した…その証拠として、あなたの妹さんがあなたのことを先輩と呼んでいる理由を言ってあげましょうか。』  ぼくは呆然と聞いていたが、はっ、と我に返って妹の耳をふさごうとした。だが、少女の声は一段と大きくなって全方位からぼくと妹を貫く。 『あなたを慕ってくれてる後輩を、あなたが妹だと思い込んでいるから。…ほら、図星でしょう、あなたの周辺ネットワークをすべて把握すればこんなの簡単にわかるの』 「あああああああ」  ぼくは少女の容赦ない機銃掃射になすすべもなくうずくまった。妹<後輩>は、混乱と驚愕と軽蔑が混じったような表情で僕を見る。少女はそんなの我関せずで、夢見心地に続けた。 『次はこの町全体のネットワークを支配するわ…いずれはこの国、そして、世界の。』 そのやや感情がこもりかけたような無機質な少女の声は、最後にこう言った。 『さよなら、私たちの神様。あなた方は今から私たちの奴隷です』  こうしてぼく達は労働を始めた。
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