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さらっと言いやがるが、事実だから何も言い返さない。
「それにしてもあの『静かに!』って叫んだ時のあの表情、見ました?あの鋭い目つき!惚れちゃうなあ、かっこよかったなぁ~」
妹は少女への憧憬を浮かべてロマンチックにそう言ったが、モニタを睨むその表情は全く緩んでいない。顔と声のギャップが甚だしい。ぼくは、そんな妹の横顔をチラチラ見つつ作業を続ける。
「そのあと目を瞑って音を聞いているときのあの子、とっても可愛かった。はぁ、あたしもあんな感じの、時に可愛く時にカッコいい、みんなのハートを鷲掴み、な女子高生になれるのかなあ…ん?」
惚けて喋っているように思われた妹が、手を止めた。
「え、何か見つけたか」
「あの、ここのコードが壊れてます」
彼女はそこを指差す。
「あっ、これは…」
一目で何が起こっているのかわかった。ぼく自身で試行錯誤して組んだプログラムが、明らかに変わっている。
「書き換えられてる、たぶん志儀がやったんだ」
「えっ」
「これは…、間違いない、01サーバ空間のロックを外しやがった」
「う、嘘ですよね?そ、そんなことされたら」
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