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「栗林さん、白田さん、丸中君に仕事を教えて上げてくださいね」と言って橋本さんは部屋を出て行った。
「さあさあ、こちらにお座りくださいませ」
とわたしは丸中君に席に座ってもらった。
「こうやって、ですね、トントンと紙をまずは揃えて、ズラすのですよ」
とわたしは丸中君に封筒の数え方を教えてあげた。
「サンキュー栗林さん」
丸中君はわたしにお礼を言って封筒の数を一枚、二枚、と数えはじめた。
なんですがなんとまあ、なんとまあ早いこと早いこと、ペラペラと封筒を捲る丸中君。その手の美しいこと美しいこと。
そして、「九十九枚、はい、百枚っと。これでいいか栗林さん?」
「もちろんOKだけど、数えるのがあまりに早くてびっくりしたよ」
「あ、そっ、こんなのちょろいけどな」
ああ、一日目の新人に敗北感を感じるわたし。
二ヶ月目のわたしより早いこと早いことたらーっありゃしない。
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