100まで数えたら…

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…私は独りで、湯船につかり、今夜も100まで数を数えている…。 家族みんなで、狭い浴槽に入っていたけど、今は独りで広々浸かる寂しさしかない…。 潜れども…潜れども…そこには複数の足もなければ…何も見当たらない…。 息を止めて、我慢して、湯船から顔を出す弟の姿さえも今は…ない…。 私は、ピクニックに行かなかった…。ワガママを言って、置いてかれた…。 そしたら、家族は交通事故にあってしまった…。私だけがこの世界に独り取り残されて…。 今はもぉ何処を探しても見つからな い…。 家族みんなで、近くの公園でかくれんぼした記憶も… お弁当を楽しく食べた記憶も…全ては、独りで思い起こすだけの産物…。 2度と…上書きされることはなく…増えていくこともない…。 独りぼっち…。 私もピクニックに行きたかった…。 後悔しても…家族は元には戻らない…もしかしたら…家に残してきた私が心配で、運転をあやまったのかもしれない…私がすんなりついていけば、タイミング的に事故は起こらなかったかもしれない…。 神様…許してもらえるなら…あの日に戻りたい…。 お風呂場の蛍光灯は薄暗く…今にも望みが消え失せるかのように…合図しているようだ…。 私は…お湯の中に、頭を全て沈ませ、100秒数えてみる…。このまま死んでも構わない…みんなに会えるなら…。 でも、私には無理だ…苦しくなったら…体をバタつかせ、顔を湯の中から出してしまう…。 こんなことを毎晩のように繰り返す…私の顔は…鬼のように…赤くて、恐ろしい形相なのだろうか…。。
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