二 生命の木
全3/4エピソード・連載中
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二 生命の木

真子はセイジの狭いベッドに裸のまま横たわっていた。 セイジは一人抜け出し、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、グラスに勢い良く注いだ。 そしてクローゼットに掛けた服の内ポケットから処方箋薬の入った袋を取り出した。 その中から数種類の薬を取り出し、手の平に開けた。 ラクテグラビルカリウム。 その薬をセイジはじっと見つめ、口の中に放り込んだ。 そして一緒に胃薬を服用する。 もうこの薬を飲み始めて二年以上経つ。 ラクテグラビルカリウム。 エイズの発症を抑える薬だった。 一般にはインテグラーゼ阻害薬と言う。 セイジがHIVに感染している事を知ったのは就職が決まった後の健康診断でだった。 大手精密機器の企業に就職が決まり、その会社に提出する為の診断書を取るために病院で健康診断を行った。 その時にセイジは自分がHIVに感染している事を知らされた。 しかし、それを聞かされたセイジは意外に取り乱す事も無かった。
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