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そうして次の日いつもの様に肩を落としながら工場へ行く。私は検査をしながらも転職の事ばかりを考えてしまった。そんな状態で仕事をしているので何時もの様に上司に注意されるが心ここにあらずで耳に入らない。 「今野さん、私の言う事を聞いているの?」 「あっ。すみません」 「皆、同じ給料を貰っているのよ」 ああ。そうだった。皆に悪いと思う。落ち込んで手を止めていると上司が私の傍にくる。 「ほら、休んでないで早く仕事をして」 「はい。気をつ・・・」 また声が出てこない。喉がおかしいのかな。 そうして半日が経ちお昼の時間になった。急いで他人にバレないよう、誰よりも早くロッカーに行って、昨日武田さんに聞いて登録しておいた中古車屋さんに電話をかけてみる。声はちゃんと出るだろうか。 「もしもし、今野と申します。求人情報を見て電話したのですが、まだ応募の方はしていますでしょうか?」 大丈夫だ。声はきちんと出る。 「ええ。今担当のものと代わりますので少々お待ちください」 同年代より少し上か、女性の声がした。私は委縮して緊張する。 「はい。電話を替わりました、榎本と言います。応募の方ですね。まずは面接をさせて下さい。今週中、都合の良い日はありますか?」 平日は仕事がある。土日なら大丈夫か。いや、平日でも何とか休もう。 「何時でも大丈夫です」 「お仕事とかされていないのですか?」 「職場には休暇を貰います」 「そうですか。では明後日の金曜日なんか如何でしょう?」 「はい」 「それでは2時に待っています。都合が悪くなったら連絡をくださいね。それと簡単な履歴書と職務経歴書を持って来て下さい」 「解りました」 私は電話を切ると、ホッと息をする。電話の感じ、担当の榎本さんは優しそうな男性であった。心配していた声もちゃんとでた。風邪気味なのかな。そんな事より面接頑張ろう。私は安心してお昼を食べに食堂に行った。武田さんが後からやって来る。今日も疲れたように肩を叩いている。私は機嫌よく 「武田さん。今、昨日の中古車屋さんに電話してみたの」と言った。 「もうかけたの?どうだった?」 武田さんが回りを気にして声を小さくして聞いてきた。 「金曜日に面接してくれるって」 「そうなの。良かったね。受かるといいね」 武田さんも嬉しそうだ。 電話をかけてみて良かった。
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