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三日後。
私たちは無事ハルキを退院させた。そして目の前には夢と同様の私たちが暮らしてきた一軒家があった。もちろん、犬小屋はないが。帰ってきたんだ。ハルキが帰るべき場所に。
「ハルキ、おかえりな」
「おかえりなさい」
私の後を妻が追った。ハルキは喜んだ表紙で自分たちの家にお辞儀した。そして一言”ただいまー”と言い放った。
家に入るなり、私に向かって言う。
「犬が欲しい」
「犬はダメだ」
ハルキ、すまんな。今回ばかりは見た夢でお前の代わりに可愛がったのがお前なんだよ。だから思い出すと、例えお前がいたとしても泣いてしまう。
「じゃあ、猫がいい」
「猫ならいいぞ?俺も好きだし」
「わーい」
彼の喜ぶ姿が可愛らしい。
「猫に名前は何にする?」
「んっとね、ハルキ!!」
私はハッとした表情で彼を見つめ返す。
「んはは、冗談だよ。僕の分身が欲しいと思ったけど、いらない。だって二人の手に収まるのは一人で十分だもん」
彼にそう言われたら私たちはやることはただ一つ。彼を包むかのように私たちは手を支えあった。一見何ともない家族のいつもの生活が再び始まるのだった。足元に郵便物に紛れて落ちてしまった一枚の茶封筒を踏みながらそう思えたのだった。
-完-
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