四話「逃げ惑う日々」

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四話「逃げ惑う日々」

私が歩く度に人の目が気になってしょうがない。何か手に持っているだけで恐れて電柱や看板に隠れて駅へ駅へと向かわなくてはならない。そして今、駅へと着いたのだが、指名手配書の紙はあらゆる店の入り口に貼られてるし、駅のホームでは警察官たちの見張りで通過できない。さらに言えば、歩く人達に紛れて警察官たちは紙を持ちながらも彷徨っている。私を見つけるためだけの警察官たちの苦労が私を追い詰めていく。私は仕方なく、駅から離れては戻る道に行く訳には行かず、あまり通ったことのない道のりを歩いていた。 そして……。 あれからもう何時間経ったのだろうか。日付的には誰もいなさそうなコンビニの商品の消費期限日を照らしながら過ごしてきたので六日だというのは分かっている。私の体もそろそろ限界である。 何もない黒いアスファルトの上で私は倒れ込んだ。何も食わず飲まずが何これ四日間続いている。初日と二日は何とかコンビニを誤魔化せてやりくり出来たが、それ以降は店員が私の顔の見覚えさに対して私自身は恐怖を覚えていた。だから何も買えずに一日一日が終わって行くのだった。 一粒の雨が私の顔に目掛けて降ってくるかと思いきや、たくさん降り始めた。その雨の中を私目がけて走ってくる犬がいた。私はその犬の名前を叫んだ。 「ハルキ!!」 犬は一言「ワン」と返事した。それと同時に車などの眩いライトが私の目や体などを照らした。光は永遠に私を照らして行くのである。その光に手を差し伸べた。 白い光の先は……。 白い光の先は……。
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