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「違っ…赤くなんかない。気のせいだよ」
「そうかな~」
「そ、そんなことより聞きたいことがあるんだけど」
「何?」
「あなたって、何歳なんですか」
「何歳だと思う?」
「えー、私よりは上だよね?30代半ばくらいかな、それか意外に若いとか」
「まあ、大体当たり。35だよ。もういい年だ」
「え、じゃあ私より三つ上なんだ。どうりで偉そうなわけだ」
「なんか言った?」
「いえ、な~んにも」
あ、電話だ。とポケットを探ってスマホを取り出す、一言か二言しゃべってから電話を切るとふうと一息ついた。
「じゃあ、俺はそろそろ戻るよ」
「う、うん」
「おやすみ。しえり」
そう言うと彼は私の頭をポンポンとしてくれた。去り際に小さく笑って窓が完全に閉まると私は大きく息をはいた。まだ心臓がばくばく言っている。頭を触られたぬくもりがまだ微かに残っている。え、何今の?ほんとに彼が?それにさっき確かにしえりって呼んでくれた。今、自分の姿を鏡で見たら気持ち悪いくらいに頬が緩んでにやついているに違いない。
「クリティカルヒット。呼び捨ての破壊力ってすごい。心臓に悪いな」
私も単純な女だ。憂鬱だった月曜が彼のお陰で少し楽しみになっていた。
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